整備日誌

20ツインパワー 4000XG 初期不良

2021.06.19

みなさんこんにちは。リールメンテナンスドットコム 内田です。

 

たま〜にある、シマノ製品の初期不良を久しぶりに見つけました。すべてのツインパワー が初期不良というわけではありませんので、誤解しないで読んでくださいね。

 

 

負荷をかけたらゴリゴリになったということでお預かり。
ギヤが目視でわかるほど削れていたので、お客様のご使用過程で根がかりの負担がかかったか、魚やジャークなどで負荷がかなりかかったのだろうと、ギヤ一式を仕入れ、交換。
 
組み上げてシルキーな巻き心地になり、念のため負荷テストをしたら、シャフトが下死点に差し掛かる手前で、ゴリゴリゴリという異音と共にオシレートがストップ。そのまま力要らずにオシレートは動き始めた。違和感残るので検査すると、ドライブ、ピニオン、ウォームシャフトに傷。。。。
 
ギヤは弊社負担で再度取り寄せれば問題ないが、一番の問題は不具合の原因。。。。
オシレートに問題ありとにらんで、オシレートピンのクリアランス調整、ウォームシャフトの前後のクリアランス調整、細かく追求するが、現象変わらず。シャフトが下がるときに負荷をかけるとシャフトが滑って下がり、上がるときに少し力が要る。
こういう時は、一旦固定概念をリセットし、今までの知識の引き出しを引っ張りまくってみる。
わからん!!!!
摺動子ガイドが1本なので安定しないのか?
んなわけない、ストラもヴァンキも1本でちゃんと支えている。
安定しないのなら、何台も不具合が出ているはず。
 
 
 
 
摺動子ガイドかぁ、
ん???????????????
ダメやんこれ。
 
 
先っぽが細くなってるはずなのに、まっすぐ。
ボディの溝にハマりません。しかも少しはみ出てる。
 
 
ボディの素材とガイドの素材を考えても、衝撃でガイドの先っぽが折れるとは考えにくいです。
 
ということで、お客様におそらく初期不良がありそうだということを説明。
ギヤを再度こわしちゃったのは弊社の作業責任なので、部品代は負担するので再度部品を取り寄せさせてくださいと説明。
1週間ほど待っていただくお願いをして、すぐに問屋を通してメーカーへ部品発注。
 
 
 
ギヤ一式、ウォームシャフトとピン、おそらく初期不良であろう摺動子ガイドを仕入れ、本日再作業。
 
 
 
 
まずは、その摺動子ガイドを2本並べてみます。
 
 
上:正常部品
下:おそらく初期不良部品(というより部品生産エラー品)
 
長さ違いますね。
細い部分が衝撃で折れたわけでもなさそうです。
実際、リールの内部に折れたカケラはありませんでしたし、本当に折れたのであれば、素材的にはボデイ側の穴の方が逝ってしまいそうです。。。。
 
本来は、この写真のように、ガイドの細い部分がボディの穴に入り、しっかり固定されるはずです。
 
 
エラー部品のせいで、この穴には入らず、しかも長さが違うので前から少しはみ出てしまったいました。
正常品のガイドを入れますと、
 
 
シャキッと収まり、前方部分ははみでていません。
 
 
この後、各部クリアランス調整を行い、最終組み上げて回してみました。
負荷なしではシルキーなのは先週と同じです。
負荷テストをしてみて、
 
ん〜〜〜〜バッチリ!!!!!
 
これぞ本来のこのリールのフィーリング、性能だ。
 
先ほどお客様へご連絡し、作業完了となりました。
 
よくよくお話を伺ってみると、ご購入後少ない使用で不具合が出たとのことでしたが、そりゃそうでしょう!!!
ガイドがグラグラで固定されていない状態で、メインのシャフトに負荷がかかれば、ウォムシャフトとメインのシャフトが離れて。。。。
あとはゴリゴリ削るだけです。。。。
 
通常ですと、お客様の方でメーカーへクレーム出せば、もしかしたらメーカーで無償対応いただけたかもしれませんが、
今回は弊社へお送りいただいたので、流石にメーカーへクレームをつけても通らないかもです。。。。
 
「メーカーの組み込みあてにならないな」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、一概にメーカーを責めることはできません。
実際、弊社で作業させていただいた時も、ギヤ摩耗があるとの判断だけで、ガイドの部品エラーには気がつきませんでした。
「まさかガイドがエラー品」だとは疑ってもみませんでした。
ギヤを一式入れ替えて、負荷テストをして、
 
考えて
 
悩んで
 
アッ!と気がついただけのことです。
 
ものづくりの仕事をされておられる方は、分かっておられると思いますが、海外生産ではなく国内生産であっても部品生産のエラーは実際に出てくるものです。
これを製造組み立て段階でチェックするのが、メーカーの責任ではありますが、負荷をかけなければ普通に巻けましたので、メーカーの組み込み時のチェックで漏れてしまっても仕方がないなと感じました。
 
弊社の作業工程においても、「まさかありえないだろ」という考えは排除していかないと、確認ミスが起きてしまうなと、大変勉強になりました。
 
リールメンテナンスドットコム 

BORED新製品がヤバい!

2021.06.01

みなさんこんにちは!リールメンテナンスドットコム の内田です。

弊社ではあまり商品を宣伝しないのですが、今回は本当に「すげぇ」と感じたので、宣伝します(笑

弊社では、オリジナルの高耐食防錆ベアリングを使用してオーバーホールしています。

ベアリングを良いものを使うと当時に、グリスやオイル等のケミカルも、リールの仕上がりフィーリングに大きく影響しますので、それなりにしっかりしたものをチョイスして使用しています。

 

オリジナルで発注しているケミカルの他、ヘッジホッグスタジオさん、BOREDさんなどのケミカルを用途や構造に応じて使い分けていますが、最近BOREDさんより発売されたグリスがかなり「やばい」のでご紹介します。

 

 

BORED    OMEGA

 

詳しいところは、

BORED OMEGA 商品ページ

をご参照ください。

 

マイクロモジュールギヤには「これしかない」というクオリティ!ギヤ鳴き軽減に抜群の威力を発揮します。

ちょう度は0ハーフ(ゼロより少し下らしいです)と通常の考えでは「シャバシャバ」かと思ってしまう増ちょうの度合いですが、配合物とバランスの影響なのか、す〜〜〜んごくまとわりつきます。

ご自身で分解してオーバーホールされてる方には、絶対おすすめです。小型番手のステラには絶対必須(笑

ただし、調子に乗って塗りすぎ注意ですよ!BORED社の製品はとにかく薄く塗るのが良いですね。

塗りすぎは悪影響や不具合が出てしまうことがあります。

この辺りは、またマニアックなブログを立ち上げる予定なので、そこでご紹介しますね!

 

リールメンテナンスドットコム 内田

ローラークラッチ=ワンウェイクラッチ が無い時代

2021.03.23

みなさんこんにちは。リールメンテナンスドットコム の内田です。

冬場のお申し込みが集中し納期が遅くなっております。皆様にはご迷惑をおかけしておりますが、何卒ご了承くださいませ。

 

ブログアップするより、作業を!ということでガンガン作業進めさせていただいておりますが、気になるリールのご依頼がありましたので少しご紹介を。

リョービ メタロイヤルVS3000ZM

今はなき、リョービのスピニングリールです。

個人的にフィッシングサファリマニアなので、リョービのリールはついつい気になります。

ローラークラッチ、ワンェイクラッチなどと呼ばれる、いわゆるアンチリバースのためのローラーベアリングがまだ採用されていない仕様のスピニングリールです。

 

ハンドルを回して、ローターの逆転ストップが、ストッパー機能で構成されています。

ペンのスピンフィッシャーなんかが同じ構造です。

ハンドル回した後に少しだけ戻る感じで、ストッパーがローターの内側に当たって「カコーン」って音がします。

普通にリトリーブするだけならあまり分からない。しゃくったり、ストップアンドゴーのような動作では、むむっと戻ってカコンと音がします。

 

そして、リョービのスピニングはシャフト上下(スプール上下)の動作は、オシレートギヤ仕様

ダイワ製品のほとんどが同じ方式ですね。

シマノはベイトリールのウォームシャフトを縦に向けたウォームシャフトで同じ動作をする仕様です。

一部バイオマスターにはオシレートギヤの方式のものもあります。

ちなみに、写真の状態ではこの後ドライブギヤは入りません。撮影のために組んだ状態です(笑

 

こんな内容の一歩踏み込んだこととか、いろいろなリールの特徴、いろいろな情報提供、技術的な質問受付を可能とする

会員サイト

を今年中には立ち上げ予定です!

納期があまりにも長くお待たせしてしまうので、ラインローラー のベアリング交換くらいは、弊社の会員になっていただかればご自分でできるようになる、という感じで考えてます。会員になっていただいたユーザーさんにはリールのセルフメンテや簡単な作業等のスキルアップにつなげていただき、弊社からのご提案や作業時の不具合のご相談時に、お互いにレベルアップしたお話ができれば、道具に対する皆様の理解度もアップできるのではと考えてます!

お楽しみに!!!

 

 

リールメンテナンスドットコム 

部品入荷遅延のお知らせ

2021.01.29

みなさんこんにちは。リールメンテナンスドットコムです。

おかげさまでたくさんのご依頼をいただき、作業の順番待ちが大変長くなっておりまして、皆様にはご迷惑をおかけしておりまして申し訳ございません。

ダイワ(グローブライド)製品の作業ご依頼のお客様、及びご依頼ご検討のお客様へお知らせです。
 
ダイワ製品の部品供給、ギヤ交換などをお願いしているスポーツライフプラネッツ様でコロナ感染者が出てしまったようです。
同社では、2月3日まで全社休業の状態を公式発表されておられます。
https://sportlifeplanets.com/
 
ギヤなどメーカー修理対応の交換部品の作業待ちのお客様へは順次ご案内をさせていただいております。
 
メーカー修理対応以外の、仕入れ手配可能な部品につきましても、入荷遅延が大幅に発生しております。
 
皆様にはご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、何卒ご了承くださいませ。
 
 
リールメンテナンスドットコム

営業時間変更のお知らせ

2020.10.27

みなさんこんにちは。リールメンテナンスドットコムです。

営業時間変更のお知らせです。

 

営業時間 9:00~18:00(木曜定休)

 ↓↓

電話受付 9:00~16:00(木曜定休)

 

上記のように営業時間を変更いたします。

ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

リールメンテナンスドットコム スタッフ一同

発送業務一時休止のお知らせ

2020.09.04

皆さんこんにちは。リールメンテナンスドットコム です。

台風10号の影響で弊社提携の運送会社より集荷休止の連絡が入りましたため、

2020年9月7日(月)の発送業務を休止させていただきます。

作業完了しましたお客様にはご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承くださいませ。

また、このブログを見てくださっておられるユーザーの皆様も、台風対策はお早めにご準備なさってください。

リールメンテナンスドットコム  スタッフ一同

臨時休業のお知らせ

2020.06.08

みなさんこんにちは。リールメンテナンスドットコムです。

臨時休業のお知らせです。

6月9日(火)から6月11日(木)まで臨時休業をいただきます。
お問い合わせへのお返事は6月12日(金)以降に対応させていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

リールメンテナンスドットコム スタッフ一同

臨時休業のお知らせ

2020.05.12

みなさんこんにちは。リールメンテナンスドットコム の内田です。

 

5月13日(水)

臨時休業

 

5月14日(木)

定休日

 

二日間お休みを頂戴いたします。

 

お問い合わせへのお返事、入金確認や発送対応は、5月15日(金)より随時対応させていただきます。

 

ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

 

リールメンテナンスドットコム スタッフ一同

臨時休業のお知らせ

2020.04.01

みなさんこんにちは。リールメンテナンスドットコム の内田です。

 

4月2日(木)

定休日

 

4月3日(金)

臨時休業

 

お問い合わせへのお返事、入金確認や発送対応は、4月4日(土)より随時対応させていただきます。

 

ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

 

リールメンテナンスドットコム スタッフ一同

久しぶりに痺れた調整

2020.02.11

みなさんこんにちは!リールメンテナンスドットコム の内田です。

 

前回、クリアランス調整のお話に触れましたが、今回も同じクリアランス調整の話です。

通常メインギヤのクリアランス調整は、ドライブギヤの左側や、左側のエンジンカバー部分に調整ワッシャー(シム)を入れて調整するとお話ししました。

今回は、かなりマニアックな調整となりましたのでご紹介します。

 

リール:08ツインパワー2000

症状:注油口から注油したら急に重くなった。メーカーに出したが断られた。作業可能ですか?

 

08ツインパワーは部品生産終了機種です。
年式関係なく、オーバーホールの基本作業と悪くなったベアリングの交換までは可能ですが、部品生産終了機種については、ギヤやその他の部品の手配交換ができません。

 

古い機種の場合はこのような条件で弊社で作業可能なところまではフォローをさせていただいてます。

 

お預かりして回した感じ、かなり重くて、少しゴロッとしているような。。。。

ギヤが悪いか悪くないか大変微妙な症状です。

考えたことは2つ

・ベアリングの固着、錆びつきで重い

・もしかしたら現オーナーが分解経歴あり、あるいは中古ご購入で全オーナーが分解経歴あり。

 

早速分解します。

ラインローラー のベアリングはゴリンゴリンでしたが、エンジン部分のベアリングは全く問題なし!

確かにグリスはベットリ状態ですが、グリス程度でここまでは重くなりません。

ギヤは目視では問題ないレベル。

 

????????????

 

洗浄後、組みつけを始めて様子を見ます。

ボディの蓋(左側)を組みつけて、「あれ?すっげえ重い」

ここで予想するのが、冒頭のお話のクリアランス調整です。結構厚いシムが入っていたので、少しづつ調整します。

かなり薄くしてもほぼ変わらずの重さなので、一旦シムゼロにしました。

 

まだ重い。。。。。

 

ベアリングが規格外のサイズに変わっているのか?確かめますがドライブギヤ左右とも規格サイズのベアリングが入っています。

 

ふとリールを下から覗くと。。。。。

 

 

ムッチャ空いてるやん。。。。

 

違うリールのパーツですかと思えるほどの空き具合。。。。

念のため、ドライブギヤを外してみて蓋をすると、若干隙間は減りますが、少し空いている。。。。

現行パーツ入手可能な機種だったら、色々仕入れて試してみたいところですが、それは出来ないので、久しぶりにボディビスにシムかましました!

05イグジストとか初期型セルテートでは結構入ってることの多いボディのシム。

シマノではまず見ることはほとんどないです。

 

もしオーナーの分解経歴もなく、中古だとして全く分解経歴がないとすれば、「変形?」とも考えましたが、簡単に変形するような素材ではないですし。。。。。

 

いろいろな「???」が残りましたが、ボディ蓋のビスの下にシムをかまして蓋の締め付け高さを合わせてやるという荒技でことなきを得ました。

高さを合わせたら隙間がなくなりましたので、もしかしたら経年で変形?衝撃?出荷時はシムが入っていた?など完全な原因追及はできませんでしたが、

仕上がりはほぼギヤ摩耗なしのバッチリ回転!しっかり固定できている状態なので機能的にも問題なし!

今回は久しぶりに気持ちの良い仕上がりとなりました。

 

ちょっとマニアックなお話でした。

 

 

リールメンテナンスドットコム 内田

 

 

 

 

 

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